過去から現在、そして未来へつながる支援
ルワンダのバンダ村でTFTの支援が始まったのは、2010年です。当時、バンダ村では貧困が深刻で、5人に1人の子どもが5歳までに命を落とす状況にありました。支援開始から15年以上が経過した現在、幼稚園生から高校生までの約2,500人の子どもたちに、栄養たっぷりの給食が毎日提供されています。かつてTFTの給食支援を受けて育った元生徒たちは、教師や現地の支援団体の職員として、地域の子どもたちを支えています。そうした姿を見て育つ子どもたちも、「自分も将来は仕事を持って村を支えたい」と、未来への希望を胸に勉強に励んでいます。
ルワンダの人口増加とバンダ村が抱える課題
ルワンダの人口密度は日本の約1.8倍で、アフリカ大陸でも最高水準です。人口の半分以上が20歳以下で、今後も人口増加が続くと予想されています。国土の大部分がなだらかな丘陵や山からなることから、ルワンダは「千の丘の国」と呼ばれています。 その「千の丘」の多くは農地として活用されていますが、増え続ける人口に対し、農地が不足しています。また、急増する若者に十分な仕事がないほか、教育現場でも人口増加に対応しきれず、教師や教室が足りないなど、さまざまな課題が生じています。
こうした人口増加の影響は、都市部だけでなく農村部にも及んでいます。TFTの支援先であるバンダ村も、その一つです。バンダ村は首都から離れた遠隔地にあり、農地として利用できない国立森林公園に囲まれているため、農地を増やすことが難しい状況にあります。また、現金収入を得られる仕事も少なく、多くの住民が自給自足の農業を営んでいます。限られた農地で人口が増え続けると、十分な食料を確保することが難しくなってしまいます。
バンダ村では、土地を有効に活用するため、大きな麻袋に土を詰めて自立させ、側面に穴をあけて作物を栽培する「サックガーデン」を活用しています。こうした方法で栽培できる作物を増やし、収穫量の向上につなげています。
サックガーデン:麻袋を使った省スペースの栽培方法
バンダ村の医療を支えるヘルスポスト
ルワンダでは電気の普及が進み、2025年末には85%を超える世帯が電気を利用できるようになっています。一方、バンダ村では、立地上の課題もあり、電気やガスなどのインフラが整っていません。そのような環境にあるバンダ村の唯一の医療機関が、ヘルスポストです。看護師と地域のコミュニティヘルスワーカー(CHW)によって運営され、住民にとって身近な医療アクセスの拠点となっています。医師がいないため、高度な専門医療が必要な場合には対応できませんが、妊娠・出産から産後のケア、子どものワクチン接種まで、地域に必要な医療を担っています。
2024年からは、このヘルスポストにソーラーパワーが導入されました。安定した電力を確保できるようになり、冷蔵庫で生ワクチンを保管したり、顕微鏡を使って寄生虫や細菌の検査を行ったりすることが可能になりました。
ソーラーパワーで稼働するワクチン保管用冷蔵庫
現在の栄養支援と、将来に向けた取り組み
TFTでは、学校給食の提供に加え、バンダ村で栄養失調と診断された未就学児への栄養強化食の支援も行っています。こうした現在の支援とともに、子どもたちの栄養状態を改善していくためには、その背景にある人口増加による農地や食料の不足にも目を向ける必要があります。
ヘルスポストで働く看護師とCHWは、医療活動に加えて、家族計画に関する取り組みも進めています。住民にとって身近な存在であるヘルスポストとの信頼関係を生かし、看護師やCHWは、母親だけでなく、父親や若い世代にも働きかけながら、妊娠の間隔を空けることや避妊方法について定期的に情報を伝え、その普及に取り組んでいます。
家族計画について話し合う住民と看護師

TFT事務局より
支援先レポートNo.52
※印刷してポスターとしてご掲示いただけます
2026年6月、ルワンダのバンダ村を訪れました。
アフリカの街には「雑然としている」というイメージを持っていましたが、実際にルワンダを訪れてみると、ゴミが落ちていることもなく、家々や街の景観が整っていることが印象に残りました。貧困比率の高いTFTの支援先であるバンダ村でも同様で、家の周りや畑が整えられており、事前に抱いていたイメージとの違いを感じました。
バンダ村では住民の多くが自給自足の農業を営んでおり、村を歩くと何かを運んだり、屋外で作業したりする人々の姿を多く見かけました。
一方で、人口増加や農地不足に加え、天候によって収穫量が左右され、食料確保が不安定になりやすいなど、さまざまな課題を抱えています。電気などのインフラが十分に整っていないことも、地域の経済発展を妨げる要因となっています。
かつて給食支援を受けて育った子どもたちが大人になり、今では地域を支える側として活動している姿にも触れ、これまで続けてきた支援が、子どもたちの成長を支え、やがて地域を支える力となり、ひいては村全体を支えることにもつながっているのだと実感しました。
現地の人々が自ら工夫し、さまざまな取り組みを行う中でも、個人の力だけでは解決できない課題があります。そうした中で、皆様からいただいたご支援が必要なところに届いていることを、このレポートを通して少しでもお伝えできれば幸いです。