こんにちは!TABLE FOR TWO Internationalの山本です。昨年12月15日にオンラインセミナー「成果を上げる健康経営 ~『社会貢献×健康増進』から考えるマネジメント手法とは~」を開催しました。
なお、このセミナーは12月7日、8日に開催された東京栄養サミット2021公式サイドイベントとして行われました。
地球規模で栄養課題に取り組む日本政府主催のイベント
企業にとって、働く人の「健康」は最も大切なもののひとつですが、一人ひとりの行動に関わっていたり、
数値で測りにくかったりと、経営戦略に組み込むには難しいものでもあります。
今回のセミナーでは、 「そもそも私たちは何を目指すべきか?」から出発し、マネジメントの具体的施策まで、
講師のお二人と参加者の皆さん、そしてTFTで考えました。
講師を務めてくださったのは、総務のプロフェッショナルである豊田健一氏(月刊総務代表取締役社長)、健康経営推進のマネジメントを研究されている森美奈子先生(摂南大学農学部専任講師)です。異なるアプローチながらも「幸福」「つながり」などたくさんの共通点があったお二人のお話。わたしも大変興味深く勉強させていただきました。
それではさっそく、セミナーの内容をご紹介していきます!
「未来志向の健康経営」(豊田氏)
変化の激しい社会のなかで、常に本質を問い続ける
セミナー前半、豊田さんからは、参加者へ「問い」を投げていただきました。
「そもそも、私たちは何を目指すべきなのか?」
働く人にとっては、幸福であること。企業にとっては、成長すること。これらが目指すべき「北極星」になりえます。
変化し続ける環境に適応しながら、目指す先に確実に向かっているのか。健康経営を行うにあたって、常に問い、見直し、改善していく必要があります。
コロナ禍で実感されたVUCAの時代。激しい変化の中で、今、本質思考への転換が起こっています。
健康経営を目的化し、北極星を見失っていては、望む成果は得られません。
成果を求めるなら問い続ける姿勢が不可欠だということを教えていただきました。
「社会貢献を通じて実現する健康経営」(森先生)
人は分かっていても行動に移せない
管理栄養士としての経験の中で、ヘルスプロモーションにおいて人の行動変容が壁になると感じていた森先生。
人は頭では健康に良いこと/悪いことが分かっていても、なかなか行動を変えることができません。
その解決策として、行動経済学の「ナッジ理論」とTFTを結び付けて研究を進めてこられました。
健康増進×社会貢献活動の効果
ナッジは英語で「そっと肘でつつく」行為を指し、人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする手法です。
EAST(ナッジの意志決定のフレームワーク)
Easy 簡単に |
人は自分にとって簡単で楽な行動を選びやすい | ハードルを下げる |
---|---|---|
Attractive 魅力的に |
人は自分にとって魅力的な情報によって動かされる | 行動したくなる魅力的な目的意識を持つ |
Social 規範に訴え |
人は周囲からどう思われているかを気にして期待通りに動こうとする | 周囲の人を巻き込む力を使う |
Timely タイムリーに |
人は自分にとってタイムリーなアプローチに反応しやすい | 適切なタイミングで介入 |
引用:Behavioral Insights Team. EAST
TFTプログラムはEASTというナッジの意思決定のフレームワークを満たしていると言います。そして参加者へのアンケート結果から、TFTプログラムには健康増進の行動変容を促し、継続させる効果があることが見えてきました。
つまり、社会貢献を入り口に健康メニューを手に取り、誰かのために継続する――そんな構図が見えてきたのです。
TFTプログラムの場合
Easy 簡単に |
手に取りやすく、寄付がデフォルトで付いている |
---|---|
Attractive 魅力的に |
健康メニューの人気が強調され、支援先の子どもの笑顔も掲示 |
Social 規範に訴え |
利他性に訴求した設計であり、支援給食数の掲示も効果的 |
Timely タイムリーに |
空腹時に気分が良くなる仕掛けと、食事の場で目に入るPOP掲示 |
健康経営をポジティブなものに
同時に、森先生は健康増進についてネガティブイメージがあることを指摘。これまでのヘルスプロモーションは専門家主導の保健指導型で、
リスクマネジメントと言えるものでした。しかし、健康増進は従業員一人ひとりが主役であり、自身の健康と幸福のために行うものです。
企業と従業員の健康と幸福(Well-being)が健康経営の目標であれば、健康増進はポジティブでHAPPYなものになるはずです。
例えば健康に関わるコミュニケーションの場でポイントを付与し、たまったポイントを寄付するなど、
みんなで健康になれる楽しい共創の場を施策としてご提案くださいました。
「成果を上げる健康経営のマネジメント手法」
講演の後は、対話形式でセッションを行いました。
印象的だったのが、お二人がコロナ禍での変化を前向きに捉えていたこと。
「今まで見えなかったものが見えるようになった」「試す/挑戦するフェーズにある」といった言葉が発せられ、
変化そのものは必ずしも悪でなく、柔軟に対応できないことに問題があると再認識することができました。
まとめ
参加者の皆さんからは
”ただ認証を取ればいいものではないということを認識できた。”
”企業において健康経営を実現する観点から、給食においてもナッジ理論を活用し、
健康的な食生活に結び付くような取り組みを検討していくことができるのではないかと思います。”
と言った声が寄せられました。
二人のプロフェッショナルを迎え、健康経営の考え方から具体的な施策まで、たくさんのヒントがちりばめられたセミナーになったと感じました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
TFTプログラムに関してのご質問、ご相談などお気軽にご連絡ください。