支援先レポートVol.51を公開しました

支援先レポートVol.51 / May 2026

広がるザンジバルの学校給食

タンザニアのザンジバルは、主にウングジャ島とペンバ島からなるインド洋上の諸島です。2014年に5校の小学校を対象に始まった給食プログラムは、2025年には両島あわせて50校、約28,000人の生徒を対象とするまでに拡大しました。
ザンジバル教育省は給食に関する政策を立案し、公的な給食予算を確保しています。その規模は年々拡大しており、2025年には50校のうち23校分の予算を教育省が負担し、残る27校をTFTが支援しました。

ザンジバルの教育現場が抱える課題

ザンジバルでは人口増加が続いており、18歳未満の人口は過去10年で1.4倍に増加しました。教育省は学校の新設や校舎の増築を進めていますが、すぐに解決することが難しい課題も残されています。ザンジバルの公立学校では、1クラスあたりの平均生徒数は106人です(2024年ユニセフ報告書)。全員が同時に着席して学ぶことが難しいため、多くの学校で午前・午後のシフト制が導入されています。教師一人あたりの担当生徒数は平均51人ですが、僻地にあるなど教員確保が難しい学校では、一人の教師が70人以上を担当する場合もあります。

教科書不足も課題の一つです。2021年の調査では、スワヒリ語の教科書は4人で1冊、算数や英語の教科書は3人で1冊を共有して学んでいることが明らかになりました。
ザンジバル教育省は、学内試験の成績にかかわらず、年齢を基準に進級させる方針を掲げています。しかし実際の運用は学校ごとに異なり、全体では約1割の生徒が留年し、同じ学年の学習を繰り返しています。男女別では男子生徒の留年率が高く、小学校卒業試験では女子生徒の方が高得点をとる傾向があります。

学校給食を支える農家グループの学びの場

学校給食の食材を栽培する農家グループの代表者は、定期的に講習会に参加しています。講習会では、生産性を高める栽培方法に加え、収穫後の乾燥や製粉、保管方法などについても学びます。適切な手順で管理しないと、虫害やカビの原因となり、学校給食用の基準を満たせなくなるためです。2025年の講習会では、一部の農家グループが納入したソルガムについて泥汚れが残っていたり、十分に乾燥していなかったりするといった指摘がありました。その場合、製粉所での洗浄や乾燥機の使用など追加工程が必要となり、農家グループの負担増につながります。

また、教育省が契約する指定製粉所が遠方にあるため、移動に時間と費用がかかるとして、近隣の製粉所とも契約してほしいという要望も出されました。オレンジサツマイモは学校倉庫での長期保存に向かないため、定期的な納入が必要ですが、その点が十分に共有されていないケースもありました。そのため、収穫や納入のサイクルについて改めて説明を行いました。給食を提供するまでの過程では、日々さまざまな課題が生じますが、教育省、農業省、農家グループが連携しながら改善を進めています。

TFT事務局より

支援先レポートNo.51
※印刷してポスターとしてご掲示いただけます

今回のレポートでは、ザンジバルでの学校給食プログラムと子どもたちを取り巻く教育環境についてご紹介しました。世界中から多くの人が観光で訪れる一方で、学校では教室や教科書が不足し、限られた環境の中で子どもたちが学んでいる現状があります。華やかな観光地としての印象だけでは見えてこない、子どもたちの日常や教育現場の実情に目を向けることの大切さを改めて感じました。
その中で、学校給食は子どもたちの学びを支える大切な基盤となっています。また、食材を納入する農家グループが講習会を通じて栽培や保管方法を学ぶなど、給食をきっかけに地域の人々が連携し、改善を重ねる動きも生まれています。学校給食プログラムは単なる食事の支援にとどまらず、学校、保護者、行政、農家を結びつけ、子どもたちを地域全体で支える仕組みづくりを後押ししているのだと感じます。 今後も、皆さまからのご支援を子どもたちの学びや地域の前向きな歩みにしっかりと繋げられるよう尽力するとともに、現地の取り組みを丁寧にお伝えしてまいります。

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