支援先レポートVol.44を公開しました

支援先レポートVol.44 / Jan. 2024

未舗装路の先にある農村ルワンダバンダ村

日本からバンダ村へは、まず首都のキガリまで飛行機で向かい、そこから車で6時間ほどの行程です。首都からは主に幹線道路を使いますが、非常によく整備されています。ルワンダはICT立国を掲げて発展を続け、また森林公園で観光誘致を行っており、開発にかける力がうかがえます。 一方でバンダ村までの最後のアクセスは凹凸の激しい泥の未舗装路。雨が激しく降った場合は車での通行は不可能です。村民が村外へ出かける際は、この道を徒歩や自転車、バイクで移動します。

  • 幹線道路は整備が行き届き、街灯も設置されています。国立公園に指定される森が近くサルやシカなどに出会うこともしばしば。

  • 村への最後のアクセスは未舗装路。雨がひどくなると車は通れません。

約一時間車に揺られてバンダ村に着くと、たくさんの子どもたちが迎えてくれました。バンダ村の人口はおよそ1.1万人。年2.5%ほど増えており、子どもだけでは約3%の増加と言われています。ほとんどが零細農家であり、貧しい家庭が多くを占めます。 働き口がないため、学校を卒業した若者は都市に出て行ってしまうことが多く、特に若い女性の場合はメイドなどで都市に働きにいくものの、妊娠して帰ってくることがあります。

バンダ村には電気が通っていません。太陽光発電パネルを設置した施設や家屋もありますが、天候に左右されるため、曇や雨が続くと使用できなくなってしまいます。また携帯電話の電波も不安定です。村へのアクセスの難しさがインフラ整備の遅れをもたらし、 結果として村の発展を妨げています。ルワンダでは首都をはじめとする都市部の発展が進むものの、バンダ村のような僻地の整備はまだまだこれからです。

  • 出迎えてくれた子どもたち。村を歩いていると、日本と比べて子どもの多さを実感します。

  • トラックが故障したと自転車で給食の材料を運ぶ若者たちに出会いました。代替手段を立てるのも容易ではありません。

バリエーションに富む給食メニュー

ルワンダの支援先バンダ村では、約2,500名の生徒に学校給食の支援を行っています。 主食は日替わり、それに加え豆と野菜で作ったおかずというのが基本のメニューです。

一番好きなメニューを子どもに聞いたところ、全員が「ライス」と答えました。他の主食と比べると高価で、家庭では頻繁には食べられない食材です。

*1 アフリカでよく食べられている芋。身近なところだと、タピオカの原料に用いられています。
*2 トウモロコシ粉をお湯で練ったもの。

地理的にも経済的にも肉や魚は簡単に食べられるものではないため、毎日提供される豆は大切なたんぱく源です。村を歩いていると豆の畑があちらこちらで目に入ります。

給食の調理は、早い日は朝4時からスタートします。TFTスタッフが訪問したこの日も、まだ暗いうちから、朝食のおかゆの用意をしたり、キャベツを大量に切ったり、米をといで炊いたりと5名の調理スタッフが忙しく立ち働いていました。

インタビュー / バンダ村の暮らし

  • クリスティーン先生 かつては、バンダ村で学校給食支援を受ける生徒の一人でした。一度村を離れて教師養成校に通ってから、4年前に教師として戻り、現在は小学5・6年生に体育、社会などを教えています。彼女自身はバンダ村には中学生の頃に転校してやってきました。給食がない学校から来て、給食が出ることに驚いたと言います。当時は昼食としておかゆが提供されていました。 「今の主食とおかずの給食の方が腹持ちもよく、仮に夕飯がほとんど食べられなくても翌日まで耐えられるので、以前より良くなっています。」

    バンダ村の多くは貧困家庭で、朝食を食べられない子どもはもちろんのこと、中には夕飯を食べられない子どももいます。両親の諍いが原因で家庭環境が悪化したり、親が遺した家で子どもだけで暮らしている場合もあるためといいます。村内で募金活動などを行って支援しますが、足りない場合は子ども自身が薪拾いに出かけるなどしてお金を稼ぐこともあり、家庭環境の厳しさが子どもに重くのしかかっている現実を教えてくれました。 教師という仕事の醍醐味を尋ねると、「立派に成長した子どもたちに会うことです。教師は私の天職であり、パッションです。」と力強い回答が返ってきました。

  • テオジーンさん 村の学校の最高学年(高校3年生に当たる、セカンダリースクールの6年生)の生徒です。父親はずっと前に家を出て行き、その何年後かに母親が他界。16歳の妹と11歳の弟がいますが、他の村で2人で暮らしており、自身は学校に通うためにバンダ村で一人暮らしです。

    学校は好きか尋ねたところ、「好き。将来的に良い人生を送れる可能性が高まるから」との答えが返ってきました。平日は朝5時に起床して、学校の復習をしてから6時半に学校に向かいます。17時に学校から帰ると、食事も掃除も自分で行います。 週末は歩いて弟妹を訪ね、畑仕事や掃除でお金を稼ぐこともあるそうです。将来の夢を聞いたところ、これからも勉強を続けて教師になりたいと語ってくれました。

TFT事務局より

支援先レポートNo.44
※印刷してポスターとしてご掲示いただけます

ルワンダ南西部 ニュングェ国立公園のすぐそばに位置するバンダ村は、TABLE FOR TWOが支援する地域の中でも最も長期で支援を継続している地域の一つです。支援を開始してから10年以上が経過しました。零細農家以外に自立の手段がほとんどないような環境にいた子どもたちが、給食がある事で学び続けることが出来たために大学へ進学したケースも出ています。レポートでは、地域の限られた食材で、子どもたちの健やかな成長を実現するための栄養指導活動や工夫した給食メニューを紹介しています。厳しい家庭環境の中で夢を持って勉強をしている青年のインタビューもあり、彼らの夢をサポートしていただいている事を感じていただければ幸いです。事務局スタッフも支援先の子どもたちや地域の成長を見て元気をもらっています。これからもTABLE FOR TWOとして出来ることを真摯に取り組んでいきたいと思います。

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